神聖戦記ジャスティネイザー 第三幕
作:盆暗





第三幕「First Attack」





暗く、広い格納庫には、薄気味悪くロボットがたたずんでいた。

時折肩が上下に動き、それは呼吸のようにも見えた。

今年で高校を卒業する予定、いや、無事できるかどうかわからない状況にいる少年は、そのロボットの狭いコクピットの中にいた。

左斜め前方に長方形のモニターが表示される。

「マモル、大丈夫か?」

「うん、なんとか」

息苦しい楕円形のコクピットの中にいる彼の顔を、計器から放出される緑色の光が照らしている。

「本当に、すまない。できることなら、代わってやりたいんだが・・・」

モニターに移っている白衣の男が申し訳なさそうに言った。

「僕しか乗れないんだから、しょうがないじゃない。それに、僕は父さんが生きていてくれればそれでいいよ」

彼の父は顔を俯け言った。

「俺は・・・・」

「父さん・・・・・」

マモルははじめて自分の父親が自分のことでこんなに悔しがっているのを初めて見た。

「そ、そんなに悔やまないでよ。なんか・・・父さんが悪いみたいじゃ」

「マモル」

言葉が途中でさえぎられた。

「絶対に、生きて帰ってきてくれ。それだけが、父さんの望みだ」

まっすぐな瞳が、コクピットの中にいるマモルに向けられている。

「わかった。絶対帰ってくる。飯、用意してて」

「もちろんだ。フルコースでな」

彼ら親子はモニター越しに誓い合った。

そのとき、緊急事態を示す警報が格納庫内に鳴り響いた。

「JNT射出準備完了。各自持ち場に配備してください」

コクピット内にもうひとつのモニターが表示された。画面には先ほどまで父親に銃を向けていた男が映っている。

「今から二百秒後に出撃する。何か質問はあるか?」

マモルは、憎しみを込めていった。

「とりあえず、あんたをぶん殴りたいね」

モニターの男は仮面をかぶっているかのように表情をぴくりとも動かさずに言った。

「帰ってこれたら何発でも殴れ。敵を撃破しろ」

モニターが切れた。代わりにモニターなしの女性の声が聞こえる。

「こんにちは。あなたの作戦オペレーティングをさせていただくジュリアです。よろしく」

キリッとした声が聞こえてきた。初めて聞く声だ。

「よろしく・・・」

もう一種類声が増えた。

「元気?マモル隊員。私もあなたのオペレーティングをさせていただくわ。もう私のことは知ってるわよね?」

「ああ、はい。道に迷った人ですね」

マモルは彼女をからかうように言った。

「あのね、あれは迷ったんじゃなくて演出上の、」

彼女が弁解している途中、ジュリアが話に割り込んだ。

「ニーナ。発進準備、入るって」

「わかった。マモル君?いや、失礼しました。マモル隊員」

「マモル君でいいですよ」

「じゃあ、マモル君?今から出撃準備に入って120秒後にあなたの乗っている機をカタパルト射出により出撃させます。相当のGがかかる
 と思うから覚悟しててね。それじゃあ、いくわよ」

「あっ、ちょっと・・・・」

言いかけたが、やめた。どうせ止めてくれるはずがないのだ。

彼の乗っている機は、ゆっくりと水平移動し、格納庫内の射出口の前に移動される。

ガシャン、

マモルはついさっきのことを思い出していた。



「父さん、こんなの操縦するだなんて、絶対無理だよ・・・乗るって言っちゃったけど」

科学者、三剣イチロウは語りだした。

「いいか?マモル。このロボットには操縦技術は必要ない」

「え、じゃあどうやって操縦を?」

「操縦はしない。このロボットはおまえ自身が動かすんだ」

「変わってないんじゃ」

「いや、このロボットがおまえになる、といったほうが正しいな」

僕は驚き、父さんを見た。

「じゃ、これと一体化する・・・ってこと?」

「そういうことになる」

「どうやって?」

「残念だが、詳しい原理を説明している暇はない」

僕は聞いた。

「仮に勝ったとして・・・戻って、こられるの?」

父さんは表情を少し曇らせ、僕のほうを向かずに言った。

「タイムリミットがある。その時間内に敵を撃退できなければ・・・・」

「ければ・・・・?」

「二度と戻れなくなる。しかし、そのタイムリミットにはかなり余裕があるから大丈夫だ」

「どれぐらい?1時間?12時間?1日?」

僕は期待の目で父を見つめた。しかし結果は残酷なものだった。

「・・・・・・13分半だ」

「じゅうさん・・・・」

「大丈夫だ。お前ならできる。ジャスティネイザーは他の機よりも数十倍も性能がいいはずだ。他の機が操縦するのに比べてお前はそのまま
 動けばいいんだからな。それに指示はオペレーターが出してくれる。お前はそのとおりにだけすればいい」









「ちょっと!マモル君!?聞いてるの!?」

声が聞こえた。ニーナさんだ。

「は、はい!」

「出撃まであと30秒よ。しっかりして!」

ついボーっとしてしまった。ニーナさんの後ろからせわしない声が聞こえる。

「オールチェックグリーン、パワーシステムアクチュエイターオン。インターフェイス起動」

格納庫内に起動音が響く。

「スタンディングバイ。リアクターフル」

射出口が開き、外部が見える。だがまだ真っ暗のようだ。マモルの機が斜め上に傾く。

「パイロット。出撃準備はよろしいですね?」

マモルは何が出撃準備なのかはわからなかったが、とにかく答えた。

「はい・・・・・・・」

「JNT発進!!」

足の拘束具が外れ、カタパルト射出から得た凄まじいエネルギーで青い機体は弾丸のように発進した。

「くうううううう・・・・・・!!!!!」

かなりのGがかかり体が座席へと押し付けられた。コクピット内が振動でゆれる。

そしてその青い機体は、ジェット気流と火花だけを残し、まだ朝がきていない夜の闇へと飛び立った。

























「行ったな」

司令官、ガイゼルが独り言のように呟いた。隣にはマモルの父、イチロウがいた。

「勝率は82%。ほぼ確実です。『パイロット』に問題が無ければ100%かと」

イチロウが答えた。

「あったとしても、JNTが通常のJNに負けることはありえん。だろう?」

「はい」

「それにしても、あの男からの情報、本当らしいな。まさか、こんな状況でとはな・・・」

モニター上の緑色の点が少しずつ目標の場所に移動していっている。

「引き続き、調査を進めます」

司令室に少しずつ静寂が取り戻されつつあった。

























夜の星からの光だけで輝いている物体が、地上から遠く離れた上空を高速で飛んでいた。

もちろんそれは流星や鳥、ましてやUFOなどではなく、マモルの乗っているJNTである。

「パイロット、応答してください」

スピーカーからの音声にマモルは力無く答えた。

「はい・・・・」

彼はぐったりしていた。

普通訓練もしていない人間が日常体感することがありえないGがかかった場合、体調を保つことは難しい。

気絶しなかっただけ、彼は幸運だったのかもしれない。

「大丈夫か、マモル」

父親が通信越しに問う。

「うん、なんとか。死ぬかと思ったけどね。今は何とか大丈夫みたい」

「そうか・・・」

ジュリアさんの声が入った。

「今から40秒後に着地、精神融合を開始します。その後の行動はそのとき指示します。何か質問は?」

マモルは恐る恐る聞いた。

「あの・・・撃ち落とされる、ということはありませんよね?」

「そこは敵の射程距離の外です。相手がロングレンジエネルギーライフルでも持ってない限り、撃ち落とされることはありません」

「はあ・・・・」

持ってない限り、という言葉が引っかかったが持っている可能性は、見つかる可能性は、と聞き返すだけの勇気は彼にはなかった。

「まもなく、着陸態勢はいります」

機体は徐々に下降し始め、速度を増していく。

「着地、精神融合開始まであと10秒。9、8、7、6、5・・・」

少し心臓の鼓動が早くなる。マモルは操縦桿を強く握りしめ、目をつぶった。

「4、3、2、1、着地します」

先ほどまで夜空をほぼ光速で飛んでいた物体は、地面に衝突する直前に下方向のジェット噴射で速度を抑え、ゆっくりと着地した。

あたりは物音一つなく、なんら変わりない。

ビル街に不似合いな巨大ロボットがいるだけで。









周りを見回したが、そこは明かりが全くないゴーストタウンだった。

『着地・・・したのか?』

着地する直前、意識が遠くなり、なぜかここにいた。

『・・・・おわっ!!』

彼は初めて自分の体の異変に気づいた。

体がロボになっていた。

声が出ない。ビビった。

頭の奥から直接声が聞こえた。

「パイロット、応答してください。聞こえますか?」

ジュリアさんの声だった。応答しようとするが、声が出ない。父さんの声が介入してきた。

「マモル、聞こえるか?」

『父さん、聞こえるよ。これが、精神融合?』

しばらくして、応答が帰ってきた。

「そうだ。成功したんだ。おまえが考えた事をこちらが解読すれば会話はできる。後はオペレーターの指示に従ってくれ」

「どう?なにかおかしいと思うところは?」

ニーナさんの声だ。

『とりあえずないですけど・・・僕は、これからどうすればいいんですか?』

「エネルギーライフル装備、表示されるカーソルに銃口をあわせてください」

彼女がそういった後、自分の視界に緑色のカーソルがでてきた。

何かの画面を通してのカーソルではなく、直接自分の目に映っているカーソルにマモルは自分自身が今『兵器』であることを再認識した。

『あの・・・エネルギーライフルってどこにあるんですか?』

「背中についてるわ。腰の位置にホルダーがあるからそれを下げて」

マモルはラクロア軍のJNがやっていたのを思い出し、腰についているホルダーを下げた。

瞬間、ガシャン、という音がして、黒い鉄の物体が背中から肩を回り目の前に下ろされた。

『これが・・・エネルギーライフル』

「もたもたしてる暇ないわよ。さっさと構えて」

マモルは左上にあるカーソルに銃口をあわせた。

「発射可能の音が鳴ったらトリガーを引いて発射してください」

あの・・・

「だまって!集中して」

は、はい・・・

彼にとって悠久ともとれる時間が流れた。

カーソルはだんだん自分の方に近づいているように見える。おそらく、気づかれていないのだろう。

ぽつぽつと雨が降り始めた。

自分の体(装甲)に雨の雫が当たる。

雨は、嫌いな方だ。しかし、今は集中するしかない。

未だに現実感がわかない。当たり前なのかもしれない。もしかしたらこれは夢で、いつか朝がくるんじゃないか?と何度も思った。

今は集中しろ・・・集中するんだ・・・

『・・・・・』

雨が少し強くなった気がした。

『・・・・・』

他に音も無い。

『・・・・・』

ゆっくりと、近づいてくる。

『・・・・・』

もう、夢はいいから、

五月蝿いぐらいの電子音が頭の中で鳴り響いた。

「なにしてるの!早く撃って!?」

頭に響くアラームをBGMにマモルはトリガーをひいた。

『っっ!・・・・わっ!』

そのとき、彼の目の前を何かが横切り、照準がわずかにずれた。

夜の街がライフルから発射された光弾によって一瞬だけ明るくなり轟音が響いた。

ドン、ドドンと遠くの着弾音。

「当たった!?」

ニーナは即座にレーダーを見たが敵の反応はまだ消えてはいない。同時にマモルの機体と敵の機体が一直線上になりつつあるのに気がついた。

「マモル君!避けて!」

音よりも速く数百メートル先から飛んでくる光弾を紙一重で避けた。

自分で動いたというよりも、反射的に体が動いた。

背後の建物が破壊される。

続けて第2射。今度は弾の数が多い。

マモルはさっきよりは余裕を持ってにサイドステップで遮蔽物に隠れた。

自分がさっきまで隠れていたビルが木っ端微塵になる。「ライフルの直撃ぐらいで壊れたりはしない」といっていたが、
当たったら壊れる壊れない云々、かなり痛そうだ。

「マモル君、反撃するわよ!腰にぶら下がっているスタンを使って敵に銃を撃ちながら突撃しかけて!」

マモルは腰に装備されている空き缶のようなものを引っこ抜き、ぎこちなく敵の方向に放り投げた。

数秒後、閃光が炸裂した。夜の街が、2秒間だけ、昼間のように明るくなった。

閃光手榴弾が爆発するよりも少し早く通路に飛び出し、ライフルをフルオートにして乱射で、突撃。

音は聞こえなかったが、彼は、自分の撃った弾が当たった手ごたえを感じた。

『うおぉぉーーーー!!』

閃光の中で、二つの巨人が激突した。

片方が後ろに吹き飛ぶ。もちろんそれは、ラクロア軍の機だった。

建物に激突し、粉塵が巻き起こる。

が、それでも相手は反撃してきた。

光弾がまだ体勢を整えていないマモルを襲う。

『うわっ!』

装甲に弾が当たり、小爆発が起こり、

『っっ・・・・!』

真後ろに倒れた。

痛い。肉が抉り取られたような気がする。

同時に相手の連射も止まった。

「マモル君!撃って!」

マモルは仰向けの体制からトリガーを思いっきり引いた。

『・・・・・!!!』

煙の中で爆発が起き、さらに煙が濃くなる。





通信が入る。

「相手はかなりのダメージを受けて、また動けるようになるまであと数十秒ある。とどめをさすわ」

とどめ?

「しゃがんで」

はあ?

「いいからしゃがむのよ!」

は、はい。

マモルは起き上がりしゃがんだ、瞬間、間接部から二本の銀色の棒が生えた。

いや、生えたというよりかは元から収納されていたものが出てきたという感じだった(というか実際そうだった)。

「それを装備して!」

二本の棒はあっという間に変形して、持つところが出来た。両手で棒を抜き取り立ち上がる。

敵はまだ動けないようだ。と、敵のほうを見ている間に棒はさらに変形を進め、新しい形状へと変化していった。

はじめは二本の銀の棒だったものは、形を次々と変え、トンファーに流線状の刃をつけた形のものになった。

「それを敵に突き刺して。今カーソルを表示させるわ」

粉塵の中に緑色のカーソルが表示された。

『そこに、なにがあるんですか?』

「コクピットよ。さあはやく!」

『え・・・』

背中についているブーストが自分の意思とは関係なく使われ、敵の正面までこさせられた、が動こうとはしなかった。

敵に攻撃を受けたわけではない。

人を殺すのが、今になって怖くなってしまったのだ。

この中に人がいる、と思うだけで体が硬直する。

今まで自分が攻撃してきたことにさえ罪悪感を感じてしまっている。

銃を撃っているときには気づかなかったが、これは「殺し合い」なのだ。

今その事を彼ははじめて気づいた。

「何やってるの!早くしなさい!死ぬわよ!」

彼は答えた。

『出来ない・・・・・・僕には、出来ない・・・人を殺すことなんて・・・』

「殺らなきゃあなたが殺られるのよ!帰ってくるって約束したんでしょ!」

『そうだ・・・僕は、帰らなきゃいけない。死んじゃいけないんだ。でも・・・』

活動限界時間は残り2分を切った。

『・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・』

突然、煙が水平に避けた。

マモルはとっさに後ろに飛び跳ねると、彼の機体の胸部に、少し火花が散った。

切れた煙の間から、大剣を一振りさせた敵のJNが立っているのがはっきりとわかった。

「だからいわんこっちゃない!避けて!」

敵は息つくまもなく剣を振ってきた。さらにバックステップをして避ける。

『くぁっ!」

状況を脱しようと構えたライフルも、大剣の一振りによって吹き飛ばされた。

残る武器はトンファーだけである。

バックステップを続けているうちに、ドン、と背中に何かが当たった。

ビル・・・・

考える暇を与えてくれないまま、大剣が再び振り下ろされた。

グワキィィンと轟音を立ててトンファーとブーストエッジが激突し、トンファーの片方は砕け散った。

ヤバい!

オペレーターの叫びも、マモルの耳には入っていなかった。

再び剣が振り下ろされる。トンファーはもう一本もなくなった。


僕は・・・・ここで死ぬのか?










振り下ろされたブーストエッジが肩から心臓部にかけて、深く、めり込んだ。


鋭い痛みの後、血の代わりに、何か水色の液体が吹き出た。

視界がぼやけてくる。なんだかすごく肩と胸が熱い。

力が、抜けてくる。

『ああ、これが「死ぬ」ってことなのか・・・・熱い、なんだかすごく熱い・・・・』

肩から胸にかけて深く突き刺さっている大剣が、奥深くへと押し込まれた。

さらに液体がドバドバと吹き出た。

父さん、ごめん・・・



彼の悲痛なうめき声は、次第に弱まり、消えていった。






「パイロット、応答してください!パイロット!」

オペレーターの叫びに応答はない。

「・・・・・・・・くっ」

彼の父親は、それを覚悟していたのか、はたまた奇跡が起こることに期待しているのか、ただモニターを見つめるだけだった。






磔にされたJNTの前で、ラクロアのJNがたっている。

「こちらミゲル。敵のJNを破壊。こっちもかなりのダメージを受けちまった。作戦は続行するが、脱出の時援護頼む」

通信機からはなにも聞こえてこない。どうやらジャミングがかかっているようだ。

「ちっ、発電所まで我慢?ふざけんな。俺に死ねってか・・・だが、帰るわけにはいかねえがな」

再度、目の前にいる動かない機体を見る。この機体を見ていると気味が悪い、とミゲルは思った。

なんだか剣を突き刺したところから出ている水色の液体が血に見える。

「気持ちわりい。こいつほんとにJNかよ。とっとと任務終わらして帰るか」

ミゲルは取り落としたライフルを拾うため、後ろを向いた。

ガラガラ・・・・

音を聞き、とっさにモニターを見る。反応は現れていない。振り向いてメインカメラで確認してみるが、確実に停止している。

熱反応もない。

「おどかすなよ。ったく・・・」

ミゲルは数百メートル先のビルの残骸から、先ほど取り落としたライフルを拾い上げた。

まだ弾は十分に残っている。

自分の機体のダメージ蓄積量は51パーセント。まだいけるが、次に敵と遭遇したとき、勝てるかどうかはかなり怪しいものだ。

とにかく、早く作戦を完遂させるため先に向かおうとした、そのときだった。

地震が起こった。それもかなり大型のだ。

「この地域に地震?、珍しいな・・・」

しかしその地震は普通の地震とは違った。

『地震』ではなかったのだ。

「ばかな!さっき確実にとどめをさしたはず!」

そのとどめをさしたはずの『それ』はブーストエッジで串刺しにされているビルをそのまま引っこ抜き、背負いながら、立ち上がった。







司令室は騒然としていた。

「JNT再起動!パイロットの生死は確認できません!」

「ありえない・・・・パイロットは・・・・」

ガイゼルは言った。

「これが伍号機の『力』というものだよ。そうだろう。三剣イチロウ博士・・・」

彼はひたすらモニターを見つめているだけだった。



「くそっ、化け物め!こいつをくらえ!」

ミゲルは再び光弾を発射したが、弾が、着弾寸前に逸れていく。

逸れた弾が、背中のビルにいくつか当たり、崩れ落ちた。

反撃に出るかと思われたが、マモルが乗っているはずのJNはただそこに立っていて動かないだけだ。

胸に体の割合に合わない大剣のアクセサリーをつけている。

「これならどうだ!」

彼は装備されたグレネードを投げつけた。グレネードは敵のすぐ足元にバウンドしたが、なぜか爆発しなかった。

「不発!?くそっ!」

その時、敵機が動いた。胸に刺さった剣を抜こうとしている。あれを使おうというのだろうか?

それは、兵器であるはずなのに、なぜか苦しんでいるようだった。

ミゲルは相手がそこから動かないうちに、先へ進もうと決意した。

このままじっとしていては反撃を食らう、そう思ったからだ。

本当にロボットなのかこいつ!!

敵機は、震えながら剣を抜こうとしている。

ミゲルがあまり長時間の使用は出来ないブーストを使い、敵の左をすり抜けようとした。

と、同時に、ブーストエッジが抜けた。

くそっ、しかし上なら・・・

全開にして、飛び越えようとし

ミゲルが敵の上空に達した時だった。

ミゲルにはそれがはっきりと見えた。

「羽・・・?」

次の瞬間、大剣を機械的な動作で上空に投げた。

ブーストエッジが矢のように飛び、ミゲルの機体のコクピットを貫いた。

死を覚悟する暇もなかった。

ブーストが止まり、推進力がなくなった機体は垂直に落下。

衝撃とともにミゲルの機が地面に叩きつけられた。



「敵機撃墜。戦闘・・・・・・終了しました。」

急激に静かになった司令室で、ニーナがゆっくりといった。

モニターには、足元に落ちているラクロア軍のJNを見下ろしているマモルの機が立っている。




背中に巨大な『羽』を持って━━━━。




続く

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NEXT TIME OF JUSTINEITHER

先頭を終えたマモルに待っていたのは軍人としての生活だった。

この世界を破滅から救い出してくれる神の存在、『SIVA』

彼は神が眠るといわれる地、レイサム・サーガに向かう。

そこで彼は一人の少女と出会う。

次回、神聖戦記ジャスティネイザー第四幕、

「地球の、鼓動、星の、声」



あとがき

終わりました第三幕。

いかがでしょうか?

え?パクリ?

そうですね、パクリといわれたら違うとは言い切れませんもんね・・・

しかし本人は至って本気です。完全創作です。

感想、お待ちしてます。メールアドレスはこれ↓

hige_kameda@poem.ocn.ne.jp

明日のサハラ砂漠の天気予報

晴れ

定例のチャットにはできるだけ出席してるはずなのでお暇な方はぜひどうぞ。