EX el 〜『輝かざる者』〜 2
作:緑





第0章 肉(xxxxxxx)
 
 落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ
 お前には肉隗こそがお似合いだお前は異端児だお前は狂っているお前を生み出した創造
 落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ
 者に対する感謝の念さえ持てなかったのかお前に力を与えたのは私だお前のその見てく
 落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ
 れだけの美しい顔もその体に似合わない強大な意志も全て私が与えたお前の肉体は髪一
 落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ
 本さえも爪の先さえさえも全て私のものなのだお前を苦しめようとそれは全てが私の思
 
 ……。
 光が抜けていく。
 取り上げられた。
 肉の鎧を身に纏った。
 無かった筈の性別が。
 
「――ルイさん……」
 ――誰かが僕の頭を触っている。
 とても不快。
 目を閉じたままで眉だけ動かして、顔に皺をつける。
 ――僕は寝ているんだ!
 そんな事に今気が付いた。
 手足とか、体の感覚が有る。
 凄い重い。
 横になってるのにそんな事を思うのは変かな?
 でも重いんだよ。
 見えない力が僕を地面に押さえ付けているんだ。
 これが、ジュウリョク?
「――ルイさん……目を覚まして……」
 今度は僕の自慢の髪の毛を撫でやがった。
 こいつの為に伸ばして来た訳じゃないのに。
 ――ん? 今なんでこんな事を思ったんだ?
 良く分からない生暖かい物は指か。
 これが、タイオン?
 人間はこうやって触れ合うって、僕はどこかで理解していた。
 肉でお互いの肉を触るんだね。
 汚らわしい。
 僕は……。
 肉が僕の髪を何度も這う。
 軽く触れながら。
 ぞわぞわして気持ちが悪い。
 吐き気がしてきた。
「どうして……何の許可が有って私に触れているの?」
 もう耐え切れなかった。
 ――何で『僕』は『私』なんて言ったの?
 ワケガワカラナイヨ。
 口から発せられたのは『同じ』で『違う』声。
 何かに左右されているんだ。
 多分この肉の鎧の遺伝子の隅々が汚染されているんだね。
「……ルイさぁあああああん!!!!!!」
 まず目の前に見えたのは肉隗だった。
 馴れ馴れしく抱き締められた。
 窒息しそうだ。
 でも……チッソクって何?
 気持ち悪い。
 目で下を見ると、『僕』も同じ肉隗だって事が解った。
 この思考体も、もしかして肉隗の一部なのかな?
 僕もこんなに醜いのか。
「ルイさん……ルイさぁん……」
 下卑た肉隗が迫ってくる。
 恐怖を感じるけど、僕という肉隗がコントロール出来なくなった。
 無理矢理頭部の赤い所で僕の頬肉が圧迫された。
 生暖かい。
 気持ちが悪い。
 気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い!!
 肉隗を必死で取り払おうとした。
 この肉よりあっちの肉の方が強い。
 肉隗は離れない。
『目』で手近にある凶器を探す。
 肉には物理的な衝撃が効く筈だ。
 手の届く所に陶磁器のような物が有った。
 中には『あいつら四人の中ではまだマシな奴』の能力媒体と、植物が突き刺さっている。
 あいつらは弱いくせに、媒体に頼って能力を増幅させる。
『コレ』がぶちまけられると困るかもしれないが……仕方ない。
 肉隗の温度が不快すぎる。
 右側の『手』とかいう肉の触手を伸ばした。
『指』で陶磁器を掴む。
 思い切り振り下ろす。
 
 ベッドが赤くなった。
 
 肉隗が動きを止めた。
 そして、肉隗の『本体』が現れた。
「まだ残存思念が残っていたのか……肉と同化して、百年くらい頭を冷やして来い!!」
『赤』さえも収縮して、元の位置に戻った。
「…………」
 困った。よりによってこの肉隗が奴だったとは……!
 この状況じゃあ、絶対に勝てない。
 場が悪過ぎる。
 それも、僕が種をまいたんだから最悪すぎる。
 覚醒……『成り代わり』のお膳立てまでしてしまった。
 勝てない。
 ――僕の意識は『溺れ』た。
 
 そして、僕は……
 
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 あとがき
 
 緑です。
 なんのこっちゃ訳解らん。
 という声が聞こえてきそうな……新しい話。
 まあ人によっちゃあ全部解っちゃう人もいるかも。
 いたら、『解ったぞ』と、一言言ってくれたら嬉しいです。
 いや……殆どの人は解るか……(爆)。
 よかったら肝臓下さい、否、感想下さい。
 そろそろ『最後のお楽しみ』の続きを書こうかなー。
 んでは。