THE・SHADOWS 5
作・トップシークレット





第四話・超強行突入!
今回は前回の出来事を踏まえてマリアの視線で物語を進行させることにします。
「仕方ないでしょ!眞吾がまさかあそこまで嫌がるとは思わなかったんだから!!」
かなりイラつきながらマリアが連れの3人に言い聞かせる。しかし、この3人集は物分りがそれほどいいとは言えず、当然納得できるわけがない。マリアがまた別の日にといって3人をなだめようとするとその3人は駄々をこねる。
「まったく!!いざというときに使い物にならないんだから!もうチョッとしっかりと働いて報酬を取ってきてよね!」
このかなり強引でリーダーシップを取っていてリーダー気取りのチョッときつめの女子はマリアの友達で飯村良子(いいむらよしこ)という。しかし、この強引な性
格さえなければかなり可愛い子であることに違いはない。髪の毛は茶色でかなり滑らかそうな髪の毛を持っていてスレンダーなボディの持ち主である。
「本当ですわ!全く、私が研究材料として1番興味を抱いていた穐山眞吾君のことをもっと知りたいのに・・・そのためには彼の自宅を潜入して持ち物とかを調べれば一発で性格とか好きな女の子のタイプとか分かるのに!」
そしてこのかなり知的で勉強熱心そうな女子は同じくマリアの友達で吉田御子(よしだみこ)だ。御子の名前の読み方がかなり特徴的なことから友達からはよく巫女と呼ばれている。そしてこれが本人のコンプレックスである。御子の見た目はかなり普通の女の子である。これといって特徴や特技がなさそうだが、かなりの濃いキャラクターである。まず特徴としては腕の指輪である。何を血迷ったのか、かなり大きい男物のドクロの顔をした指輪を左手の中指にはめている。そして特技は推理心理学である。この見たことも聞いたこともない心理学はいわゆるその人の持ち物や行動を見てその人の性格や行動の兆候を推理してカウンセリングするという謎の心理学である。だが、この推理心理学を知っているのだがまだまだ未熟者だと本人は豪語する。
「まったくその通りだよマリア!俺なんかわざわざ部活休んでまで眞吾ン家に潜入しようとしたのによ!明日部長からなんていわれるわ分かったもんじゃねぇよ!」
この文句をもらしまくっているチョッと日焼けした肌の少年がサッカー部のエースで副部長代理の大須賀耕輔(おおすがこうすけ)である。この学校の名物になっている美男美少女コンテストでは毎年かなりの上位に食い込んでくるイケメンである。その上喋りがうまい、運動神経が良い、女子に物凄く優しいの三拍子がそろった特徴的な男子学生である。そんな彼いわく本当にサッカー部を休んで眞吾の家に侵入を試みたらしい。その証拠に背中にサッカーボールを入れたネットが背中からぶら下がっている。
「だぁーもう!いちいちウッサイナ!!私だっていやいやこんな役引き受けたんだから私だってやる気なんかこれっぽっちもないの!!全く!それならあんた達で何とかしなさいよね!」
3人の愚痴をいっぺんに聞いたもんだから怒りの火山が噴火した。こうして4人が愚痴を言い合っているうちにいつの間にか学校の正門を出てしまっていた。正門をすぐに出て右に曲がるとそこは大通りである。すると、その大通りにちらちらと見え隠れする見覚えのある後姿がそこにはあった。
「あぁーーーーー!!!眞吾君だーーー!!!!」
その眞吾と思われる後姿を指差して良子が大声で叫んだ。その大声につられてほかの3人があたりを探す。しかし、そこには眞吾と思われる後姿は影すら残っていなかった。
「何を突然獣みたいに大声を出して騒いでるのですか?どこにもいないではありませんか!」
すかさず御子がかなりズバッとしたツッコミを良子に繰り出す。
「あれぇ〜?おっかしぃなぁ〜?確かにあの本屋さんの入り口の前にいた気がしたんだけどなぁ〜?」
「良子、お前遂に睡眠不足から来る幻想を見ちゃったんじゃないのか?」
「そんなわけないでしょ!あんたみたいなサッカー馬鹿と一緒にしないでよ!私はちゃんと毎日10時間の睡眠をとってるのだから!」
すると、黙って様子を見ていたマリアが静かに切り出す。
「案外ほんとにいたかもしれないわよ?あの本屋さんの前あたりに。」
「おいおい?遂にお前までも幻想を見たのかよ?しっかりしてくれよ?!」
さらに静かにマリアが耕輔に向かって言う。
「だったら、あの本屋さんに行ってみよう!もしかしたらいるかもしれないわ。いや、絶対にいるはずよ!」
「まったく!そんな自信はどこから来るのやら?まぁ、とにかく覗いてみるだけでもいいでしょう。」
そういって一行は眞吾が消えたと思われる本屋を覗くために本屋に早歩きで直行した。4人は本屋の入り口に着いたので取り合えずという感じで本屋の中の様子を探る。すると、状況判断能力が飛躍的に抜群な御子が1番最初に言葉を発した。
「・・・ここから見た感じではいるとは思えませんね。もっと探るためにこの本屋さんの中に潜入してみましょうか?」
すると、良子が無鉄砲なほどの勢いで先陣を切って本屋の内部に潜入を開始する。と、間髪をいれずに耕輔が言葉を発する。
「おい!もし眞吾が中にいたら俺達がここにいることがバレちまうぞ!少しは頭を考えて行動しろよ!!おい!聞いてるのかよ!」
聞く耳を持たずにゆっくりと中をうかがうように本屋の中に入っていく。
「まさに馬の耳に念仏といったところですね。いっつもリーダーシップを取っていながらこういう肝心なときになるといっつも1番最初に突入して自爆しているというデータしか私の元には残ってませんね。呆れますわ!」
そういって御子も良子の後を追うようにゆっくりと本屋の中に入っていく。
「そういいつつも結局御子も眞吾のことが気になってしょうがないんじゃん!皆計画性がないからな・・・仕方ない。俺も一緒に突入するか。」
そういって耕輔もサッカーボールをぷらぷらと揺らしながらソロリソロリと店内に入っていく。一方、今だ店内に入ろうとしないマリアはいろいろなことを思っていた。
『どうしようかな〜。あたしも一緒に入ろうかな〜?・・・・・確かこの本屋さんは二階建てのこうぞになってるから・・・眞吾がもし隠れるとするなら・・・・・・・二階の奥のエリア?』
このマリアの推測は確かに間違いではなかった。だが、いまひとつ詰めが甘かったのかもしれない。確かに眞吾も2階構造の建物で逃げるとするなら2階の奥のエリアを念入りに調査して逃げ込むであろう。だが、眞吾は意外と追撃者から逃げるのが意外とうまい。もしかしたらこの本屋の2階の奥のエリアにいるとは考えづらい。しかし、マリアは1階のエリアを捜索している3人組を尻目に、狭い階段をすたすたと上ってこの本屋の1番見えづらく狭いエリアを探し始める。1番新しい新刊の文庫本からかなり古い文庫本が半分ずつに分かれて販売されている。
『どうやらここは文庫本しか置いてないみたいだ。そういえば眞吾は文庫本が持ち歩きやすくて見やすくて好きだといっていたからな・・・。もしかしたらここのどこかにひっそりと逃げながら隠れているかも?』
2階部分の内側は一通り探索したので、次は外周部分を探索するために外側に移動を開始する。2階部分の外周部を探索し始めるが、マリアは歩きながらあることに気が付く。
『なんなんよ?!ここの外側は!すごく歩きづらい!・・・・ふるい文庫本は床に放置してあるからいつ躓くか分からない。それに内側の部分と違って死角がすごく多い!これでは眞吾を捜索なんて出来たもんじゃない!』
なんだかんだ時間が掛かりつつも内側を念入りに見回りながら外周部分を一周して捜索を終了。2階の部分に眞吾がいないことが分かるとそのまま階段を下りると、そこには階段の下でマリアのことをイライラしながら3人組がそこには待ち構えていた。
「遅い!!!今まで何をしてたの?!私たちをずっと待ちぼうけにしておくなんていい度胸ね!!」
「私なりに眞吾の行動パターンと照らし合わせながら2階を探してみたんだけど・・・どうも、眞吾が行動パターンを少し変更したらしく、今まで眞吾が行きそうな場所をしらみつぶしに探してみたけど影すらも見つけられなかった。」
「う〜〜ん・・・人間の行動パターンを読むとその人の先の行動が分かるというのに・・・そう変更が出来るもんじゃない行動パターンを簡単に変更するとは・・・眞吾君・・・もしかしたらかなりのやりてかもしれませんね。」
「眞吾ってある意味優柔不断なんじゃないの?だって行動何たらってのを簡単に変えることが出来るんだから?」
眞吾捜索の成果や眞吾の行動パターンの解析、これからの予定について話し合っていると突然吹いた突風に乗って一枚の紙切れが耕輔の顔に張り付いた。
「なっ!何なんだこれは!?・・・・・ん?何だよ!ただの紙切れじゃん!!」
そういって耕輔が紙切れを捨てようとしたとき、間髪をいれずにマリアが静止する。
「チョッと待って!耕輔、今もってる紙切れ、チョッと私に頂戴!」
「はぁ〜〜?こんな紙切れどうすんだよ?・・・・俺の変わりにポイ捨てするってか?!」
などといいつつ耕輔は捨てようとしていた紙切れをマリアに手渡しした。すると、耕輔からもらった紙切れを様々な角度から観察している。チョッと不思議な行動に御子が尋ねる。
「マリアちゃん。チョッとそんなごみを観察してどうするのよ?そのごみに何か不思議なことでもあるの?」
御子に聞かれてマリアは何かを発見してニンマリとした表情で答えた。
「うん!すごく不思議なことがあるよ。御子ちゃんさ。持ってないとは思うけどブラックライトって持ってるかな?」
いきなり突拍子もないことを聞かれて驚きの表情を隠せるはずがなく驚いたままでマリアに言う。
「うん。一応持ってるけど、何に使うの?」
「この紙切れがかなり重要なヒントを握ってるのよ!」
「はい、これ。」
そういって御子は何故か知らないが、所持していたブラックライトをマリアに渡した。マリアは当たり前のようにそのブラックライトのスイッチを入れてその紙切れを照らした。すると何かぼんやりと文字が浮かび上がってきた。そこには四文字熟語の馬耳東風と順風満帆その下にマリアたちはこのヒントだけで俺の家に来れるかな?と書かれていた。この文字を見たマリアはキレた。
「何よ!!眞吾の奴!こんな挑戦状まがいなことして!これだから眞吾はズレてるって言われるのよ!」
すると1番知的な御子が冷静に考え始めた。
「そんな事は眞吾君の家に行ってからにして。それより今はこの挑戦状の謎解きが優先よ。」
「なんだ。これ今日の国語のテストの四文字熟語の部分で出た問題じゃん。」
「そういえばそうね。馬耳東風は・・・心に留めずに聞き流すこと。全然関係なくない?」
「だったら順風満帆も関係ないじゃん。だって意味が何事もなく順調なことって意味じゃん。」
するとマリアが何かを感じたかのように言う。
「あくまで私の推測だけど、意味があるのはその一つ一つの言葉の意味だけじゃないのかな?」
「えっ?どういうこと?」
たまらず御子が聞き返す。
「多分・・・馬耳東風は多分ただ単に方角を表してるだけじゃないのかな?それに伴って順風満帆はそれに乗っていけ見たいなノリで行っているだけじゃないのかな?」
たまらず感嘆と共感して耕輔がうなる。
「おぉ〜〜。なるほどぉ〜〜。つまり、馬耳東風の部分はただ単に東の方向をさしているだけ。それで順風満帆はその風が吹く方向に行けって事だから・・・つまり眞吾の家はここの位置から東の方向にあるってことか!」
この耕輔のまとめに何か問題がありげに良子が言う。
「う〜〜ん。それにしてもかなり単純すぎる答えね。ただ東の方向にあるってだけで。いくら東の方向にあるって行っても東の方向は住宅街になってるから普通よりも家が多いから・・・探すのは相当苦労すると思うわよ。」
「まぁ、とにかく東に行けばいいってことでかなりのヒントになったとは思うわよ。」
「そうだな。とにかく東に行くか!」
すると素になって良子が聞く。
「ところで東ってどっち?」
一同の動きが瞬間的に氷のように固まる。しばらく一同の動きが止まって御子が何かひらめいたかの如く何かを取り出した。
「なに?それ?・・・・」
「これ?これは新しい電子コンパス。このコンパスは常に何の狂いもなく北を表示する従来の針式のコンパスよりかなり正確に表示されるコンパス。」
すると、御子は手馴れた手つきで電子コンパスの電源を入れて設定を変更する。すると電子コンパスは瞬間的に東西南北を表示する。
「ここからの位置だと・・・東はこっちの方向ね。」
そういうと御子は東の方向に体を向け、そのまま東の方向を指差す。
「やっぱり住宅街の方向だったか。仕方ない。地道に探しましょう。」
すると4人は大きい通りを車が来ないことを確認してサッサとわたる。と、突然何かを思い出したかのようにマリアが言葉を発する。
「あ!あたし一回だけ眞吾の家に行ったことがある!」
この発言を受けて良子がイラつきながら言う
「どうしてそんな大事なことを今まで言わなかったの?」
「仕方ないでしょ!突然なことだったから忘れてたのよ!」
二人がこんな調子で口論を展開していると冷静な口調で御子が二人の口論を静める。その後、うろ覚えのマリアの記憶をたどって狭く入り組んだ住宅街の小道をゆっくりと確認しながら進んでいく。すると、とある大きな三階建ての一軒家の前にやってきた。この家の大きさといったら一同驚愕に値する。
「うそっ!眞吾君て実はかなりすごく大金持ちの御曹司だったの?」
「すごい!眞吾君・・・これだけでもかなり眞吾君の性格とかが分かる資料になるわよ!。」
「すげぇーな!あいつがぼけてる原因ってのが少しばっかり分かった気がするぜ!」
するとマリアが補足を説明するように口を開く。
「確か・・・眞吾のお母さんがジェネラル・カージナルジャパンのかなり重役だった気がする。それで眞吾のお父さんが日本自衛隊の陸海空軍統合大佐階級のお偉いさんだったようなきがする・・・」
「すごすぎるよ・・・・」
しばらく4人が穐山邸の周りをぐるぐる周回しながら観察をしていると当の本人、穐山眞吾が帰宅してきた。それを見てマリアが突然慌てながら物陰に隠れるように指示する。物陰に隠れて少し落ち着くと、4人は壁からヒョイと首を出して様子を伺う。その眞吾は家の門をゆっくりと開けて家のドアの前にある郵便受けを確認して自分の持っている鍵で鍵を開けて自分の家に入ろうとしたその刹那マリアが一気に小声で叫ぶ。
「今よ!!強行突入!!行け行け!」
突然のマリアの掛け声に訳も分からずとにかく全速力で超強行突入を敢行する。しかし、距離が少し遠かったかもしれない。ドアが開いて自動でゆっくりとドアが閉まりかけて今にも鍵を閉めかけられたが何とかマリアの柔らかい体から繰り出されるスライディングキックが何とかギリギリしまりかけのドアに挟まってどうにか締め出されるのだけは回避できた。そして今度はその足を挟んだままの足を残してゆっくりと慎重に体を元の形に戻していく。しなやかな体と中学3年生の女子生徒の筋力で元の姿勢に戻して息を切らせながらはさんだままのドアを開けると玄関には仁王立ちで構えている眞吾がいた。その眞吾が何か異様な迫力でマリアに話しかけた。
「よく俺の家が分かったな。誉めてやろう。だが、これで帰ってもらおう。」
この言葉を聞いてマリアはガクッと全身の力が抜けた感じがした。
「と、いいたいところだが、俺もそこまで鬼じゃない。今日は特別に君達4人を俺の部屋にご招待しよう。あがりたまえ。」
さらに全身の力が抜けたマリアを尻目にほかの3人がズカズカと眞吾の後に続いて眞吾の家に入っていく。何とか全身の力が戻ったマリアもゆっくりと眞吾の後に続く。すると眞吾がとある扉の前で止まる。
「ここが俺の部屋の前です。どうぞ。君達が知りたかった俺の部屋に・・・」
そういうと眞吾が扉をゆっくりと開けた。すると、そこに広がっているのは極普通の男子学生の部屋・・・とはかなりかけ離れた部屋の内装になっていた。いや、別に男子学生の部屋に間違いではないのだがかなり普通ではない男子学生の部屋である。まず部屋の壁紙がかなり深い色をした迷彩色というべきだろうか・・・それからかなり大きい電動モーターで動くBB弾のマシンガンとかガスでBB弾を発射するハンドガンとかが綺麗に壁に掛かっていて整理整頓されている。しかも机の上にはなにやら怪しいコードがうじゃうじゃとつながれた電光パネルと四角い鉄の箱が乗っかっていた。この光景には幼なじみのマリアでさえも驚きである。
「し・・・眞吾・・・あんたってそういう趣味があったの?」
「かなり過激な趣味をお持ちでいらっしゃること・・・・・・・・」
「ますます眞吾君の性格が分からなくなってきた・・・・・・」
「あぁ〜〜〜あの電動ガン俺が欲しいやつじゃん!!あれってかなりパワーがすごいんだよなぁ〜〜!」
そんな感じで驚きの声を上げながら4人は各々の場所に座ってくつろぎ始める。くつろぎ始めるが、眞吾の部屋にある珍しいものに興味がわいてそれどころではない。かなり派手に改造された電動ガンとか、違法のガスガンとか、果てまた謎のコードの塊とか・・・その一つ一つを丁寧に眞吾が説明していく。
「このコードがごちゃごちゃしてるもんってなんだ?」
「あぁ〜それ乱暴に扱わないでくれ。一応それは爆弾の模型だが現在も電力が供給されてて火薬も半径100mは吹き飛ぶ量が入ってるから。気をつけてくれよ。」
「ば・・・爆弾って・・・・本物かよ?」
「本物だよ。ためしにつけてみる?」
「見せて見せてぇ〜〜!」
そういうと眞吾はごちゃごちゃとしたコードの中からいかにもという雰囲気をかもし出している鉄の箱を強引に穿り出した。さらにその鉄の箱の上部を手馴れた手つきで開けるとそこには細長黄土色の筒が何本も収納されていた。しかも筒一本一本しっかりと結ばれていた。そのうちの一本を注意深くはさみでパチンと切って黄土色の筒の中に入っている粉を小さな小皿に少量を取り出した。その小皿を耕輔たちの元に持って行き、アルミホイルで包んで手ごろなライターで小皿を熱し始めた。眞吾の家で理科の実験まがいなことをしているので4人は理解が出来ずに思わず眞吾に尋ねる。
「眞吾。これから何が起きるの?」
「まぁ〜・・・見てのお楽しみかな?それとあんまり近すぎてみると粉々になったアルミホイルが飛び散るから危ないよ。」
眞吾がそのまま小皿をライターで熱し続けている。すると、熱し続けている小皿に変化が現れ始めた。アルミホイルで包んだ小皿の中がパチパチと音を立ててはね始めた。それからまもなくしてドンという明らかに尋常ではない音がして、それに伴い衝撃で小皿が粉々に砕け散って床に散らばりアルミホイルは銀河を駆け抜ける流星のように四方八方に飛び散った。このあまりにも突然の大迫力にその場にいた4人と爆弾を製作した張本人の眞吾ですらその威力に驚いてしまった。一同その威力にどうリアクションをしていいのか分からなくなってしまいしばらくの間沈黙が流れる。もう何秒、いや、何分経過したことか。何か神様のイタズラ的なことでさらにもう一回軽く爆薬が破裂する。一同は沈黙していただけに驚いて体をビクッとさせて後ろに反射的に交わす。その爆薬の破裂によって重苦しかった沈黙があたかもどこかに消えてなくなってしまった。そして1番最初に眞吾が言葉を発する。
「い・・・いやぁ〜〜〜〜。まさかこの眞吾特性爆薬がここまで威力を持ってるとは思わなかったぜ・・・・・」
冷や汗を額にたらたらとたらしながら焦り気味に言葉を発する。それに続きマリアも何とかがんばって言葉を発す。
「あ・・あんた・・・・・・もしかして爆薬の調合量を間違えたんじゃないの?」

「いや・・・・・・爆薬の調合するのにわざわざ計画書とか作らないから・・・・・・・」
「眞吾君のおかげで危うく私たちは死に掛けたのよ!全く責任取ってよね!せ・き・に・ん!」
「そ、その通りです。まさか眞吾君が爆弾魔だったとは・・・・・・見損ないました。」
「モノホンの爆弾がまさかこんなところにあるとは思いもよらなかったぜ!」
するとマリアがきょろきょろと眞吾の部屋のあたりを見回し始めた。その感じは何かを探しているような雰囲気でもあった。
「それにしてもあんたの部屋には物騒なものしかないわね。この部屋に何か安全なものはないの?」
すると眞吾が額から流れ出る汗を拭いながら余裕を感じさせる声で言った。
「物騒なものという言われ方は少し引っかかるけどまぁ〜いわれてもしょうがないかな?一応対強盗用の防犯装備なんだけど・・・・俺んちは親がほとんどいないからこの家を守るのは俺しかいないからぁ〜〜・・・といってもまだ各設置場所に防犯設備用の兵装は全部設置が完了してないんだよね。」
「へ、兵装って・・・眞吾君子の家を要塞化する気なの?」
「別にそんなつもりはないけどさ。親が帰ってくればそこにある全システムを管理する予定のパソコンで管理してるからそれでシステムを一時的に落としてやればあんぜんだからぁ〜〜。」
「あぁ〜〜もう!!そういうわけじゃなくてっ!!」
呆れた様子でマリアが渋々眞吾の性格を解説する。
「眞吾にそんな事言っても無駄よ。まさに馬耳東風って感じよ。眞吾の頭の中は常に第二次世界大戦と太平洋戦争とベトナム戦争と湾岸戦争とイラク戦争が入り混じった世界だから。」
「つまり眞吾君の性格は物凄く好戦的で目立ちたがりやっていうわけですね!かなりのナルシストであることがこの場で判明しましたわ!!これは新聞部に物凄い高値で売れるタレコミだわ!!」
突然良子がさらに眞吾の性格の深部を探るようなことをふっとたずねる。
「ねぇねぇ、眞吾君ってさ。どんなジャンルの音楽を聴くの?すごい興味があるんだけど?」
すると眞吾がおもむろに押入れの引き戸を開けた。すると中から威風堂々のいでたちでかなり大き目のコンポが姿を現す。その隣にはCDラックが構えている。眞吾はそのラックの中から何枚かのCDを取り出して良子に手渡した。良子はそのCDを裏返してジャンルを確かめるとそこにはトランス、ユーロビート、古典和風音楽集と記載されていた。当然初めて耳にすると音楽のジャンルなので4人は知るよしもない。
「どんなジャンルか分からないからさ一枚ずつ順番にかけてよ。」
「いいよ。いっとくけど、俺がセッティングしたこのサラウンドシステムはかなりの大音量だから注意しろよ。」
眞吾がそういうの仕方がない。なぜなら部屋の四隅にホームシアターでも使わないような大きさのウーファーが合った。さらに押入れの中から20畳用のホームシアターで使うウーファーを3基取り出し、そのウーファーにコードをしっかりとつなげて準備完了。眞吾は押入れにある本体のCDを入れる部分を開けて一気に3枚のCDを収納させた。ベッドにあるリモコンを手にして操作を開始する。再生ボタンを押して後は音楽を聴くだけである。すると、いきなり大音量で涼しげな琴の音色が流れてきた。眞吾はその音楽を聴いて物凄く癒されている様子だがほかの4人はすごく詰まんなさそうなそぶりを見せた。その後は和太鼓、尺八などの日本の古典的な楽器の独奏が延々と続いた。眞吾は感動されたようだがほかの4人はあくびをし始めている。飽き飽きしてきたところで、ゆっくりと大音量で様々な電子音が混じってなんとも独特な音をウーファーが奏でている。少し理解に苦しんでいるマリアが眞吾に尋ねる。
「眞吾、この音楽は・・・・・・一体何?」
「トランスだよ。トランスはイギリスで生まれたクラブのダンスミュージックなんだ。使用する楽器は基本的には何もない。直接レコードをかけながらDJの感性に任せてほとんど即興で曲を作っていくんだ。だから同じ曲は二度とないといっても過言でもない。ちなみにトランスとは英語で一体するという意味で・・・・・」
眞吾が自分の大好きな曲を少し早口気味で解説しているとマリアが割ってはいる。
「あぁ〜〜もういいから。それにしても新世代ミュージックにこんなものがあるのか。眞吾にしては意外といい感性をしてるわね。」
このジャンルの曲は意外とほかの4人の受けが良く皆でノリノリのリズムを打ち始めていた。最後にユーロビート。ユーロビートとトランスの違いはユーロビートには歌詞があるがトランスには歌詞がないところと、ユーロビートはトランスと比べると全ての曲がロック調に仕上げられている。こちらのほうがトランスよりさらに4人の受けが良く、トランスの前兆もあってさらにノリノリである。そんなドンチャン騒ぎがその後も続き気が付くと時計の針が午後8時をさしていた。
「おい。もう夜の8時なんだけどそろそろ帰ってくれないか?俺もそろそろやることがあるんだよ。」
すると時計を見ながらマリアが、
「そうね。眞吾の家も分かって性格も少し理解できたし。私たちもそろそろ立ち去るとしましょうか?」
この4人のリーダーのマリアが3人に問いかけるとほかの3人は承諾した様子で、荷物をまとめ始める。そして速やかに荷物をまとめてマリアたちは眞吾の家を後にする。眞吾は4人を見送った後に自分の部屋に戻って早速自宅防衛システムの製作に取り掛かる。眞吾は既に製作済みの爆弾を押入れから取り出して秋葉原で購入したシステム統括コンピューターを爆弾とつなげてさらにその統括コンピューターをパソコンのコネクタ部分につなげてシステムの製作に取り掛かる。パソコンのモニターからは黒い背景に白い英数が大量に映し出された。眞吾はその映し出された情報を的確にかつ、この家の防衛システムを的確にプログラミングをしていく。しかし、その日のうちに終わらなかったため、眞吾はシャワーを浴びて寝てしまった。
――――翌朝――――いつもと変わらないすずめがチュンチュンと鳴く大通りをいつものように眠そうな顔をして歩いている。すると、突然何者かが延髄を強打してきた。
「ぐばぁー!!!」
眞吾は予想通りのうめき声を上げて前方によろける。眞吾は眠いだけにイラつきながら、
「いってーな!!誰だ!もうチョッと下のあたりを狙うと完全に気絶するのに!!」
立ち上がりながら後ろを振り向くとそこには仁王立ちのマリアの姿あった。
「またおめぇーかよ!お前はラリアットの命中精度が悪いんだよ。それじゃ敵を完全に敵を気絶させることは出来ねぇーよ!」
マリアはこの言葉を聞いてため息をはいて、
「はぁ。あんたはまたそんな事をいうんだ。確か昨日同じようなことをほざいてたわよね?」
この言葉にまたムッと来た眞吾は言い返す。
「むっ!ほざいてたとは何だよ?!俺はマリアに的確なラリアットのアドバイスを善意でやってやってるのに。」
呆れた様子でマリアは何かを思い出したかのよう眞吾に問いかける。
「それより・・・・・あんたはちゃんと昨日、本部から通信があったの知ってる?」
突然マリアが突拍子もないことを言うのできょとんとして、
「・・・・・・・?いや。そんなの知らないけど?それはいつのことだ?」
やっぱりといった雰囲気で仕方なく説明をする。
「はぁ〜。あんたはやっぱりあんたは寝てて聞いてなかったのね。いいわ。教えてあげる。」
そういうとマリアは眞吾に近づいてマリアのその豊かで艶やかな唇を眞吾の耳元にゆっくりと近づける。眞吾も気が動転して思わず後ずさりする。
「おい!名に考えてんだよ?!こんな人が多くいるところで?びっくりした。」
マリアはかなり険しい顔をして眞吾に再び近寄って、
「私がこれから話すことは絶対に他人に知られてはいけないことなの!あんた、この本部からの通達は非常に重要で世界が戦火に巻き込まれるかも知れない情報なのよ!」
このことを聞いて眞吾も必然と顔が険しくなり、作戦のときにだけ見せる顔に徐々に変化する。
「どうしてそんな情報がこんな陰みたいな部隊に配信されるんだ!もしかして・・・・」
眞吾のこの口調だとどうやら眞吾も何か思いあたりがあるようだ。念のためにマリアから耳打ちを受けると眞吾は愕然として全身の力が抜け、手に持っていたカバンをぼとりと地面に落として眞吾自身も倒れそうになる。
「私も本部の情報を疑ったわ。だけどこのことは事実なの。まさか・・・・・あいつがこの日本に潜伏してるなんて思いもよらなかったわ。」
眞吾は全身に力を入れようと踏ん張りながら言葉を弱々しく発する。
「その名前は・・・・・出来ればこの日本で聞きたくなかったな。・・・・・・もう・・・あのときの二の舞は御免だ。」
眞吾の目にはどことなく目が潤んでいるように見えた。
第四話・超強行突入・完