ダブルオーダー 作:木下香介



「「すいません、肉まんください」」
某緑のコンビニ、日本語訳を「家族の店」そんなことはどうでもいい。
そこでオレ、石田 誠(いしだ まこと)は、見知らぬ少年と店に残った最後の肉まんをダブルオーダーしてしまった。


「「!」」
少年と目が合う、背丈はオレのほうが高いため見下ろす感じとなるが、少年の目は・・・
(なんじゃわれ〜、この肉まんはわしが先に目〜付けたんじゃ。文句あんのんか?え〜)
てな感じをギンギンに漂わせている。
(あ〜ん、ガキの分際でわしに立てつこうってのか〜こっちは高2やぞ)
という目線でこちらも睨み返す。
そんなこんなしているうちに店員がやってきた。
「「肉まんを!!」
またしてもダブルオーダー!!
(なんやわれ〜あんだけ言うてもて〜引かんのんか。しばくぞわれ)
(なに生意気いうっとんじゃ、いいか、お前なんかうちの組の非合法的なモンで蜂の巣にしたるぞ、コラ〜)
野菜の名前の会社で有名な猫耳娘のごとく互いの目から強烈な闘志のビームを発する。
(非合法的なモン?そんなモンうちの組には腐るほどあるわぁ、そんなモンの脅しにのるとでも思っとんか〜?え〜こちは極道を極めとんじゃ)
(いい根性しとるの〜われ、いっちょ勝負したろうじゃんけ、表になコテンパンにのしたる)
互いのビームも頂点に達したとき、店員がいった。
「すいません、お客様。こちらは、あんまんでございます」
「「!!」」
あ・ん・ま・ん?
あのしっとりとした生地に包まれ、口に入れるとこれでもかというばかり一杯に広がる、あんこのハーモニー。一度食べたら病みつきになってしまう。あのあんまん!?
「「結構です。いりません」」
またしても、ダブルオーダー!!??


『終』



(696字)