数百年の刻を経て、宿命の二人は再び出会ってしまった。
「待っていたぞ…お前と再び戦える日を！」
　邪悪な赤い瞳をギラつかせて、目の前の宿敵は言い放つ。あの時のままだ。彼は静かに瞳を閉じる。何百年も前に、確かに自分はこの男と戦い、そして勝った。絶望的な状況からわずかな希望を見出し、勝機をつかんだのだ。それは世界を揺るがし、代々語り継がれるにふさわしい戦いだった。
「一度勝ったぐらいで調子に乗るなよ。あの屈辱的な戦い以来、我が一族はこの日が来るのを待ちつづけた。今度こそ……今度こそ叩きのめしてやる！」
　確かにあの勝利は奇蹟だったのかもしれない。常識的に考えても決して勝てる相手ではないはずだ。だが、彼は逃げるわけにはいかなかった。あの戦いを愛してくれた、勇気をもらったと涙してくれたすべての人々のために。――自分はただ。
「戦うのみ…」
　覚悟を決めて一歩踏み出した。砂塵は風に舞い、高く空へと消えていく。そう、すべてはあの頃のままだった。
「ＧＯ！」
　遥かなるゴールを目指し、うさぎとカメは走り出した。

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